【会社の使命と個人の価値】 レッスン46

それでは、企業理念をベースにした問いかけについて、少し具体的にイメージしていきたいと思います。

■ 会社の使命にチームがどのように関わっているか

みなさんの会社の理念はどのような構造になっていますか?標準的な企業理念(Corporate Philosophy)では、最初にその会社の存在意義が書かれていると思います。タイトルは、使命(ミッション)というのが多いと思いますが、目的とか、あるいはジョンソン&ジョンソンの「クレド」のように、ステークホルダごとに分散して書かれているケースもあるかもしれません。

ひとつ目のテーマは、その会社の使命(存在意義)に対して、自分たちのチームがどのように関わっているのかということの確認です。

ここで素材として、『資生堂グループ企業理念』を使わせていただきましょう。先頭にきているのが、やはり Our Mission です。
https://www.shiseidogroup.jp/company/principle/

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Our Mission
私たちは、多くの人々との出会いを通じて、
新しく深みのある価値を発見し、
美しい生活文化を創造します

ネット上で見ると、三行の分かち書き、センターそろえになっているので、ここでもそのように表記してみました。こうしてみると、ミッションのコア(核)が「美しい生活文化を創造します」にあることがわかりやすくなります。

こうしたミッションのコア、もしくは大前提となるコンセプトは、その意味するところについては自明であり、了解事項として扱われ、意外と咀嚼される機会が少ないのではないでしょうか。これは、資生堂のみなさんが現実にそうしているといっているわけではなく、一般的な話しです。

■ メンバー一人ひとりにとっての「美しさ」

そこでこうした文言を “motto hanging on the wall” 日本語でいえば「額縁に入った言葉」にとどめないで、「生きた言葉」にすることをゴールとします。最終的にはグループの使命を果たすために、そのチームはどのような役割を果たすべきか、ということを考えるところまでもっていきたいというイメージです。

最初の問いかけは、会社が標榜する「美しさ」と、チームのメンバーにとっての「美しさ」の距離を縮めることを目標とします。距離を縮めるというか、わたしの感じでは「同じ土壌の延長上にある」ということに気づくというイメージですが、まあいいです。

そこで、チームのメンバー個人一人ひとりにとっての「美しさ」はどのようなものか、一人ひとりに問いかけます。問いかけ方はいろいろ考えられますが、たとえば次のようなものが考えられます。

● あなたにとってのBeauty Moment(美しさを感じる瞬間)について教えてください。
● あなたの考える美しさを一枚の絵で表すとしたら?
● あなたの考える美しさをレゴ・ブロックで表現してみてください。

ひとつ目の問いに、みなさんならどう答えるでしょうか?芸術作品に感動した体験を述べる人もいれば、何気ない自然の移り変わりに言及する人もいるでしょう。人と人が接する瞬間をあげる人もいるかもしれません。ことほどに「美しさ」は多様です。

こうした問いの効果としては、次のような気づきを生むことが考えられます。会社が標榜している美しさ(コンセプトとしての)の背後には、このような●多様な美の沃野が広がっているということ、それがひとつ。そしてたぶん、わたしたちの仕事は、会社が標榜するビジネス上の限定的な美しさを広めることではなく、その美しさをきっかけに●お客さまを豊かな美の世界にいざなうことだ、ということに気づいてもらうことがもうひとつ。

別の言い方をすると、わたしたちは美を売るビジネスパーソンである前に、美を感受する個人であったということを思い出してもらうことです。会社が社会に提供する価値と、わたしたち個人が大切にする価値は地続きであるということを実感してもらうこと、と言い換えてもいいでしょう。

同時にそれは、同じチームの他のメンバーもそうした個人であるということに気づく機会でもあります。そうしたプロセスは、自ずと他のメンバーをリスペクトする気持ちを引き起こし、チームビルディングにもつながっていきます。

このようにして、会社の標榜する理念を、メンバーにとって生きた言葉にすることがウェイ・マネジメントの第一歩です。

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下平博文
Philosophy Driven Organization Network 主催
shimodaira.hirofumi@PDONetwork.com





by pdoneteork | 2019-02-12 10:00 | Comments(0)